切なくも懐かしい。「いじめ」にこんな風に向き合える「おすすめ問題作」です(kibanaさんのKindle本)

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昔むかしの、ある田舎町。閉じられた世界で繰り広げられる「いじめ」をめぐるよもやま話。

「腫れ物」のような、デリケートな話題に一石を投じてくれたkibanaさん

じっくり考え、解決をさぐるきっかけになるはず。そんな一冊、ご紹介します。

kibanaさんってこんな人

引用:stand.fm

kibanaさんは、スタンドFMでアコーディオンの演奏を届けてくださる音楽家さんです。

そのノスタルジーにあふれた音色は、つい、なつかしい「あの頃」を思い出してしまいます。

収録に耳を傾けるもよし。ライブでリクエストするもよし。

忙しい日常の合間に、ふと「なごみ」の時間へといざなってくださいます

そんなkibanaさんの、今回ご紹介させていただくキンドル本。

なかなかの問題作かもしれません。

田舎。それは、閉じられた世界

このキンドル本、メインタイトルより副題の方が主軸となっていると言えます。

「田舎の学校でのほのぼのとした物語」だと思って読むと、ショックを受けます。

逆に、副題にある「閉じた社会で生きる知恵」にフォーカスされた「傾向と対策本」といったスタイルです。

実はみんな謝りたい

まず、わたしはプロローグで心臓をわしづかみにされてしまいました。

クラス会で数十年前の罪を謝罪するって、ままあることかと思われます。

そして、それがいじめだったとしても

そしてさらに、いじめられてた子が笑ってそれを許してあげる。これもあるあるだと思います。

そして、わたしも謝ってたY田くんです。

いや、Y田くんと一緒に、心の中で謝ってたクラスメイトの一人です。

とってもとっても同意です。「実は、自分たちも謝りたいんだ。」

田舎でなくても当てはまるかも

作者は「複式学級なくらいの田舎」をステージにされてますが、この現象は田舎でなくても当てはまるんじゃないかと思います。

たとえば、私は市街地から少し離れた郊外で育ちましたが、そこでも、作者が言われる「閉塞感」や「固定された人間関係」が存在してたからです。

そういった意味で、多くの方に共感していただける作品です。

また、転勤族など定住されない方にとってもためになるのではないでしょうか?

大都市でない限り、こういった世界観は日本では大なり小なり存在するものだからです。

本書では、いろんなキャラの小学生が、いろんな理由でいじめられます。というか、マウントを取られます。

何かが他の子よりも「劣っている」子、逆に出来すぎて「出る杭」的な子、そして、親がお金持ちなど「気に食わない」子。

さらに興味深いのが、それらの子どもたちが、なんとか折り合いをつけて生きているということです。

「いじめられっ子」であることを受け入れたり、徹底的に戦ったり。そのほか、いろんな処世術で。

それはあたかも、本来の自分以外の、アバター(分身)として存在しているかのように。

しかも、それはいじめられる側だけではなかったというのにも衝撃を隠しきれません。

逃げられない空間で演じる、それぞれの役割

良くも悪くも、人に対するイメージってつきますよね?「あの人は優しい人」とか。

その反面、そのイメージがイヤで「高校デビュー」や「社会人デビュー」を果たす人もいたり。

それくらい、イメージって固定されやすくて、なかなか脱出できない。

それは著者が暮らした世界でも同じで、子どもには修正することすら叶いませんでした。

固定化された人間関係の中で、固定化されたイメージのなかで生きる子どもたち。

それはまるで、与えられた役割を演じる役者のようにも感じられるのでした。

そして興味深かったのが、いじめる側も苦しんでたこと。

極端ですが、「自分はいじめないといけない」と頑張ってたことが、数十年後の同窓会で図らずも明るみになったようです。

「そんなバカな!」と思うでしょうか?

わたしは分かるような気がします。いじめた側の苦しい葛藤も。

なぜ?なんて考える余地もなく、求められる役割を演じ続けてしまう空間

いじめる側も、いじめられる側も、そして周りで関わる子ども達も。

一見、不毛とも思える「演劇」ですが、「演じてるだけ」と言い聞かせることで救われてた一面もあるんじゃないかと思ってしまうのでした。

こんなリアルを届けてくれる貴重な書籍ですが、人によっては「不都合な真実」になってしまうことがあるかもしれません。

「田舎へ移住」の無垢な夢が・・・

「田舎へ移住」というとどんなイメージでしょうか?

自然豊かな風景。素朴で純粋な人々。そして人情味あふれるお付き合い。

そんな、古き良き日本を体現したような理想郷・・・を描く人は、さすがにいないでしょうか?

ただ、人間関係の濃厚さというか、そういうのは想像以上かもしれません。

とはいえ、移住を考えてる人は、そういった田舎特有(?)の人間関係についてはリサーチ済みの人が多いようです。

あるアンケートでは、約半数の人が「田舎への移住で地域の人と馴染めるか不安」と答えていることからもその様子がうかがえます。

裏を返せば、良くも悪くも田舎の閉鎖的な社会は一般に認知されているとも言えそうですね。

本題から少しそれましたね。

この本のメインテーマはいじめへの問題提起だと感じましたが、それだけではありません。

この本で、「いじめ」から救われる人がいるはず

いじめは確かに存在します。

それは、田舎でも都会でも、子供の世界も大人の世界も同じこと。

では、仕方ないことなのでしょうか?

特にスケープゴート、「いじめられる側」になったら、耐えるしかないのでしょうか?

この本では、いろんないじめの原因、パターン、そして対処方法を、実例で紹介してくれてます。

もちろん、それをマネすることで解決するとは思えませんし、かえって悪化するかもしれません。

けれど、

  • いじめられる原因が100%自分にあるわけじゃないこと
  • ときにユーモアに、ときに徹底的に、そしてときにズル賢く「いじめから逃げおおせた」人がいること
  • 「こういう仕組み」で、いじめは起きてしまうこと

を読んだとき、全てが解決しなくても、今受けてる、そして過去に受けた、いじめから少しでも救われる人もいるんじゃないかと思いました。

いちろう的活用法

この本、思い出話の名を借りた、思わぬ「くせ者」というのが正直な感想です。

気軽に読み始められて、深く考えさせられました。

わたくしいちろうといたしましては、提起された問題についての考察もさることながら、その文章構成をおおいに参考にさせて頂きたいと感じました。

もし機会に恵まれましたら、kibanaさんのようにグイグイ読ませる執筆を心がけたい。切にそう思いつつ、本を閉じました。

まとめ

・田舎のリアルが伝わる本

・いじめる側といじめられる側の両方に光を当てた本

・夢見がちな移住希望者への警鐘本

・自叙伝の形をしたいじめへの問題提起本

こんな性格のKindle本です。

やった。やられた。見過ごした。すべての「いじめと関わった」方達へ。

懐古と思考と贖罪と。そんな思いのきっかけに。

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テーマを問わず、次回作が待ち望まれます。

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